东方导命树 ~ Mystical Power Plant

平台 Windows
游戏大小 N/A
语言 中文
开者者 上海アリス幻樂団 & 親須ミルカ
发布时间 2022-03-21
标签 休闲

游戏介绍

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○東方導命樹 ~ Mystical Power Plant.

 

 キャラ設定とネタバレ

 

       東方導命樹製作チーム シナリオ担当 親須ミルカ

                               2013/08/10

 

 

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■0.設定の目次

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 ■1.エキストラストーリー

 ■2.キャラ設定

 

 

*この先は、エンディング以降に係わる強烈なネタバレがあります

 クリアしたか諦めたか、そもそもどうでも良い方のみ見てください

 

 

           この先、10階層

              ↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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■1.エキストラストーリー

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香霖堂――

 

ちょっと普通じゃない客しか訪れない店先で、普通じゃない赤と緑の巫女と

普通の黒い魔法使いは、その日全く偶然に顔を合わせた。

 

  魔理沙「偶然だな、お前ら何しに来た?」

  早苗「禍公が帰り際に置いて行った百人一首を売り飛ばそうと」

  霊夢「倉に押し込めといて、変な霊に憑かれたら困るしね」

  魔理沙「実は全く同じ事を考えていた。偶然ではなく運命の巡り合わせ

      だったな」

 

三人が抱えているのは、禍原命廟が生前に執筆した詩歌が書かれた、貴重な

当時の百人一首である。

残念ながら今時の少女達は、和歌で風流を感じる奥ゆかしい趣味は持たない。

 

  霊夢「霖之助さん、入るわよ」

  霖之助「うーん、確かここにあった筈だが…」

 

不在の確認もせず、慣れた調子で無粋に押し入る霊夢と魔理沙。

少々困惑した様子で早苗が後に続く。

一方の店主・森近霖之助もまた、来客など気にも留めず、雑多な品々をひっ

くり返して、ぶつぶつと何かを繰り返している。

物を捨てられない病気は大変だな。魔理沙は心の中で他人事のように呟いた。

 

  魔理沙「今日は何を探してるんだ」

  霖之助「ああ、いや、ここに保存しておいた等身大の少女人形が…」

  魔理沙「おま…いつの間にそんな性癖が…」

  霖之助「そう言えばまだ話していなかったかい? 最近は君達もあまり

      来てくれないからな」

 

露骨に引いている霊夢や早苗を全く意に介さず、霖之助は事の顛末を独り事

のように語り出した。

等身大で生きているような質感を持つと言うその少女の人形は、湖畔で妖精

達によって発見されたのだそうな。

 

  霖之助「妖精で良かった。これが命蓮寺の妖怪鼠だったら、譲り受ける

      のに幾らふっかけられていた事か」

  早苗「そこまでして等身大の少女の人形が欲しいだなんて…」

  霖之助「外の世界の素晴らしい技術が使われているかもしれないだろう。

      置きっ放しでも仕方が無いから、思い切って誰か詳しそうな人

      か妖怪に尋ねよう、そう思って探していたんだけど――」

 

不意に、早苗の服の懐から電子音声が鳴り響いた。

 

間欠泉の異変の際に、八雲紫が用意した遠隔通信機と同じような物を、守矢

神社の三柱は、今や独自に開発して所持しているらしい。

珍しい獲物を見る人食い妖怪のような霖之助の視線に、霊夢と魔理沙は苦笑

いを押し殺した。

 

  早苗「すみませんが私はこれで。導命樹に、歌を歌う見慣れない妖怪が

     出現したとの事ですので」

 

屋外に身を翻して足早に飛び去る早苗。百人一首はしっかり置いて行かれて

いる。

導命樹は命廟への返還がとりあえず決まった後、今はまだ守矢神社に仮置き

されたままである。

妖怪と聞いては黙ってはいられない。霊夢と魔理沙も互いに見合わせ、札の

山をその場に残して後を追った。

 

  霖之助「歌を歌う妖怪ね…ふむ、まさか…」

 

霖之助は少しの間記憶を辿った。

そして、僅かに頬を緩め、残された百人一首の品定めに取り掛かった。

 

 

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■2.キャラ設定

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◇プレイヤーキャラサイド

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 ○火力発電チーム

  博麗 霊夢(はくれい れいむ)

  Hakurei Reimu

 

  種族:人間

  能力:主に空を飛ぶ程度の能力

 

  毎度お馴染みの巫女さん。博麗神社の巫女さん。

 

  彼女は幻想郷におけるありとあらゆる異変を、その弾幕ひとつで捻じ

  伏せる、言わば幻想郷における圧倒的な「力」の象徴である。

  ゆえに、一度屈服させた相手が再び立ち上がるという事は、彼女にと

  って極めて都合が悪い事であった。

  ただでも落ちる一方である神社の権威、守矢などという外来の神々に

  乗っ取られてたまるか――

  異変になると突如切れ者と化すのはいつもの事だが、今回は内心そこ

  そこ焦っているようだ。

 

 

  霊烏路 空(れいうじ うつほ)

  Reiuji Utsuho

 

  種族:地獄鴉 with 八咫烏

  能力:核融合を操る程度の能力

 

  地霊殿館主・古明地さとりのペット筆頭。霊夢に拉致され参戦。

 

  守矢の神々に丸め込まれ、間欠泉センターで働いていた彼女であるが

  今回の異変の少し前から、事前に少しずつセンターの機材が盗まれて

  いた事には気付かなかったようだ。

  彼女の仕事は核融合炉の火力保持である。地獄鴉の鳥頭では、その間

  他の事を意識など出来ない。

  無意識の中で、彼女は確かに犯人の姿を見ていただろう。もっとも、

  仮に心を読むさとりの能力を以てしても、その映像を再構築する事は

  夢のまた夢だろうが。

 

 

 

 ○魔力発電チーム

  霧雨 魔理沙(きりさめ まりさ)

  Kirisame Marisa

 

  種族:人間

  能力:魔法を使う程度の能力

 

  幻想郷に住む、普通な魔法使い。蒐集癖を持つ。

 

  最近は、自身が見聞きしたあらゆる弾幕を、本に纏めて売り出そうと

  考えている。

  その為、今回は最新の外来品だと言う超薄型カメラを持参して来た。

  自宅に積み重なるガラクタの山からこれを探し出すタイムロスが無け

  れば、守矢神社一番駆けの座を霊夢に明け渡す事は無かっただろう。

  おまけに後で気付いたのだが、持って来たそれは、カメラではなく、

  音楽を聞く為の装置と間違えていた。

  まあ仕方が無い。気を取り直して両の耳に端子を挿し、音楽で気分を

  高揚させ導命樹へ乗り込む――

  彼女は極めてプラス思考な人間である。

 

 

  聖 白蓮(ひじり びゃくれん)

  Hijiri Byakuren

 

  種族:魔法使い

  能力:魔法を使う程度の能力(身体能力を上げる魔法を得意とする)

 

  空飛ぶ妖怪寺の妖怪聖。魔理沙に拉致され異変解決に参戦。

 

  人里では、争いを好まぬ温和な尼僧で通っているが、それは里に住む

  大概の人間が、何かしらの形で仏教を奉じているからに過ぎない。

  今回山を訪れていたのも、宗教上の商売敵に当たる守矢神社を偵察し

  近いうちに起こるであろう幻想郷の宗教戦争で優位に立つ為であった。

  自分達の力を過信する愚かな僧侶はまだ知らない。彼女の不在をいい

  事に、命蓮寺では弟子達による酒宴が始まっている事など――

 

 

 ○風力発電チーム

  東風谷 早苗(こちや さなえ)

  Kochiya Sanae

 

  種族:人間

  能力:奇跡を起こす程度の能力

 

  妖怪の山にある守矢神社に住む巫女さん。相変わらず神様らしい威厳

  は欠片も無い。

 

  神奈子達の提唱する幻想郷エネルギー革命が成功すれば、外の世界か

  ら持参して来た携帯電話がいずれこの地でも使えるようになる。

  幻想郷の変革をリードする神奈子・諏訪子に向ける彼女の眼差しは爛

  々として、尊敬に満ち溢れていた。昔は。

  度重なる無謀な挑戦、そしてまたまた失敗。嘗て飼い主に懐く子犬の

  ようだった彼女の双眸の光は、今やどことなく、捨てられた子犬を憐

  れむようなそれに変化していた。

 

 

  八坂 神奈子(やさか かなこ)

  Yasaka Kanako

 

  種族:神様

  能力:乾を創造する程度の能力

 

  山の上にある守矢神社の神様。異変の実行犯ではないもののまたまた

  間接的に原因を作ってしまった。

 

  幻想郷の果ての果てに人知れずそびえ立っていた超巨大な樹木を見つ

  けた彼女は、これこそが次世代クリーン・エネルギーの象徴であり、

  相棒・洩矢諏訪子と共に天地を司っている自分達の力の象徴としても

  相応しいと考えた。

  思い立ったらすぐやるのがモットーの彼女は、早速何やらご都合主義

  な諏訪子の力を借り、天を貫く大樹を一瞬にして山の上に移動させた

  のだが…残念な事に、今の世の中そんなにうまい話がある訳が無い。

 

 

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◇敵キャラサイド

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 ○各面中ボス

  木霊(こだま)

  Kodama

 

  木霊とは樹木に宿る精霊である。また、それが宿った樹木を木霊と呼ぶ。

  …ってwikipedia先生が言っていた。ある意味妖精と近しい存在。

 

  導命樹ほどに年季の入った古木となれば、当然、山ほどの木霊が住み着

  いているのは何処もおかしくはない。

 

 

 

 

 ○1面ボス 荒ぶる夜叉(ヤクシャ)如来

  荒神 薬子(あらがみの くすこ)

  Aragami no Kusuko

 

  種族:薬師如来(自称)/夜叉(現実)

  能力:水を操る程度の能力&薬を扱う程度の能力

 

  偉大な医療の神である「薬師如来」を自称する胡散臭い彼女。その正体

  は、遠い昔に遙かインドからこの国へやって来た外来妖怪である。

 

  元々は、水の力で水害や長雨を引き起こす「夜叉」と呼ばれる悪鬼であっ

  たが、やがてその紛らわしい音韻から、薬師如来と混同され敬われる様に

  なって行った。

  「夜叉」は「ヤクシャ」とも読む。民間レベルでは「薬師」と発音の別が

  つかなくても仕方が無かった。

  さらに、偶然にも本物の薬師如来は、12人とも16人とも言われる夜叉を従

  えているとされ、勘違いが広がる土壌は十分にあったのである。

  彼女自身も、恐れられるより崇拝されるのが気持ちが良いのは当然の事。

  いつからか薬師如来を真似て、独学で薬の知識を身につけ始めた。

 

  ある時、海を隔てた土地から余所者がやって来た。しかし驚くべき事に、

  彼女は忽ちのうちに神格化されて、薬子を祀っていた寺と、集まっていた

  信仰を根こそぎ奪い取ってしまった。

  外来信仰による土着信仰の駆逐。かつて彼女が行った事を今度はその身で

  味わう羽目になったのである。

  故に薬子には即座に分かった。突如として大樹を光らせた犯人は、そんな

  憎らしくもあり畏ろしくもある、因縁の相手に間違い無いのだ。

  これは逃げるべきか、それとも雪辱戦を仕掛けるべきか――

  悩んでいるうちに、薬子は守矢神社から飛んで来た人間に撃ち落とされて

  いた。彼女はどっちつかずの優柔不断だったのである。

 

 

 

 

 ○2面ボス 現金で元気な天気屋

 

  飛倉 百々(とびくら もも)

  Tobikura Momo

 

  種族:野衾

  能力:天気を予知する程度の能力

 

  暗い夜道を歩いていたら、突然顔に何かが覆い被さって来たという経験は

  無いだろうか。無いですかそうですか。

  その正体は彼女のような「野衾」と呼ばれる妖怪鼠である。リスだっけ?

  まあどちらでも大した問題ではない。

 

  一見するとただのげっ歯類であるが、隠してある羽を使って空を飛ぶ能力

  を持っており、これが人間を驚かす為の切り札であると考えている。

  もっとも少女型の妖怪が空を飛ぶのは幻想郷では日常風景。人間が驚くと

  したら、それは単に、暗中に不意に飛来して来る事による物だろう。

  他にも小さな火を吹いたり、天気を当てるスキルを磨いたりと、新たなる

  びっくり技能の開発には余念が無い。エネルギー革命と同様、人を驚かす

  という事もまた、進化と行き詰まりのいたちごっこなのである。

 

  今回は空に突如現れた、巨大な光に興味を持ってやって来た。

  なにせ聞いた話では、外界では電気を操るネズミやリス、更にはモモンガ

  が人気者だと言うのだから。

 

 

 

 

 ○3面ボス 堕天狩人

 

  サラカ・サンタンジェ

  Saraka Sant'Angero

 

  種族:堕天使

  能力:魂を刈り取る程度の能力

 

  邪星異変以来、にわかに幻想郷でも姿を見かけるようになった、西の国の

  天使達のひとり。

  大別して、キリスト教布教の任を負って来た者と、幻想郷の居心地の良さ

  から、神ヤハウェに無断で住み着いた者が居るが、サラカの役目は後者の

  ような「堕天使」すなわち天道から外れた者を狩って連れ帰る事である。

  魂を狩る大鎌を携えたその姿は三途の川の死神を彷彿とさせ、宗教とはす

  なわち国境を越えたパクリ合いであると、語らずとも能弁に示している。

 

  …のだが、いささか自制が効かずに、天使ばかりでなく人間の幽霊や怨霊

  まで狩り過ぎるという難儀な性格であり、ゆえに自身も堕天使になりかけ

  ている。

  彼女は大鎌の他に、心を狂わせる月の力を操るが、これは元々太陽の力を

  持つ天使だったのが、堕天によって力の性質が反転した為なのだ。

  もっとも当人はしばらく天界に戻っていない為、堕天には気付いておらず

  新しい力が手に入った事を喜んでいる。

  堕天使とは往々にして、このように神外の力に酔った者が堕ちる。彼女も

  また、それも時間の問題かも知れない。

 

  今回導命樹をうろついていたのは、そこに彼女にとって興味深い物が二つ

  あったからだ。

  ひとつは、自分と同じく太陽の光を吸収し力を生み出す不思議な銀の板。

  もうひとつは、天道の理を無視して生きる魂――彼女の狩猟対象である。

  それが一体何者なのか…続きは製品版にて!

 

 

 

 

 ○4面ボス 人妖二界の皇

 

  祟徳院 天夢

  Suitokuin Tenmu

 

  種族:大天狗(元人間)

  能力:崇めれば祟らない程度の能力

 

  「大天狗」という、天狗社会の管理職に就く偉い妖怪。

  但しその正体は、生前の強い恨みによって妖怪となった、やんごとなき身

  分の人間である。

 

  彼女は復讐の為に、その権威によって妖怪達を束ね、天狗の長たる天魔と

  共に山の支配体制を形成して行った。

  それ故に、最近突如として居座り始めた余所者の神様が気に喰わなかった。

  (ちなみに以前山を陥落させた天使達に関しては、すぐに帰ったので別に

  どうとも思っていない)

  間欠泉異変に宝船異変――守矢の神々が起こした事件を、これ幸いと報道

  部隊にバッシングさせ、風評拡散を狙った事もあったが、いまいち上手く

  行かなかった。守矢側が巧妙に尻尾を掴ませなかったとか、地底界の情報

  が何者かによって封鎖されていたとか、原因は色々あるのだが、何よりも

  山の外の人妖にとって、どうせ行かないし行けない守矢神社の事など、ぶ

  っちゃけどうでも良かったのだ。

 

  神奈子達が導命樹を山に持ち込み、更に外界から神様を招いたと知った時

  彼女は今度こそ守矢の評判を地に落とす事が出来ると確信した。何故なら

  守矢が連れて来た神様と自分は、ちょっとした繋がりで、少なからず親交

  を持っていたからだ。

  天夢は守矢に悟られないよう、秘密裏に「彼女」と接触して計略を練った。

  「彼女」が異変を起こせば、導命樹には膨大なエネルギーが集まり、暴走

  したら幻想郷壊滅の危機となる。

  実際の所「彼女」の意図はそこではないが、天夢が守矢を陥れる材料とし

  ては十分すぎる物だった。

  加えて、泡を喰った守矢は必ず樹に飛んで来るので、自らその現場を押さ

  える。「彼女」の目的達成を助けつつ、守矢を山から追い出す口実を手に

  入れるのである。

  守矢のエネルギー計画は駄目だと認めさせて、知らしめてやるだけでも良

  いが、うまく間欠泉や宝船の異変に関する事を、当人達の口から引き出す

  事が出来れば、これ以上の収穫は無いだろう。

  止めに射命丸文以下、報道部隊と哨戒部隊を里からの道中に配置し、巫女

  の干渉も妨害する。

  計画は完璧だった。一つ致命的な穴があったとしたら、天狗の幹部が異変

  に協力しているという現場を、逆に押さえられてしまった事だろう。

 

 

 

 

 ○5面ボス 夜を裂く花の子

 

  八重咲 杏

  Yaesaki An

 

  種族:木霊

  能力:春を送る程度の能力

 

  平安時代から生きる古い梅の樹――導命樹に生息する精霊。

  自然の具現たる妖精とはある意味近しい存在。またある意味では導命樹の

  自我そのものである。名前がアンズなのに梅とか突っ込んではいけない。

 

  導命樹という巨大な神木を依代とするだけあり、彼女達の総数は凄まじい

  物がある。が、そのすべての個体は、杏という一つの自我を共有している。

  集まって人間に似た姿を取る事も、無数に分離する事も自由自在である。

  複数形で「杏ズ」なんですねとか突っ込んではいけない。

 

  外の世界において、導命樹はとある伝説をもって語り継がれている。

  遠い平安の時代、樹=杏の主である禍原命廟が、都から遠く太宰府へと流

  された後、彼女を慕って梅の木ごと空を飛んで追って行ったという「飛梅

  伝説」である。もうお分かりと思うが、樹を飛ばしたのは杏の仕業だった。

  とは言え実際には、彼女にも太宰府まで飛ぶだけの力は無く、途中で力尽

  きて、その地に根を下ろした。

  現在、飛梅として太宰府に伝わる梅の木は、都から来訪した者が株を携え

  て来たというのが現実である。人知れず墜落した本物の飛梅の木は、いつ

  の間にか幻想の存在と成り果てていたのだ。

 

  「私が居なくなっても、春になったら風に乗せて匂いを届けておくれ」

  彼女の主人は、別れの際にそう言った。

  忠義に厚い(諦めが悪いとも言います)杏は、樹を飛ばす力を失っても、

  年月をかけて樹自体を大きく育てる事で、遙か遠い地の主人にまで花の香

  りを届けようとした。

  守矢の神々はその樹を、飛梅の樹とは知らずに導命樹として神社に移し、

  さらにたまたま、主人の禍原命廟を、エネルギー革命の神様として招いた

  のである。

 

  かくして偶然の再会を果たした主従であったが、樹を自らの本拠地である

  太宰府に引き取りたいという命廟と、エネルギー新時代の象徴・導命樹と

  して幻想郷に残したいという神奈子達の意見がにわかに衝突。

  そこに日本三大怨霊として命廟と親交のあった祟徳院天夢が付け込み、守

  矢に対する命廟の不信感を煽る工作に出た。

  結果、飛梅の樹を取り返す為、命廟は天夢の協力を得て、強硬策を実行す

  るべく壮大な仕込みを開始する。

  杏の役目は、決行当日、集団戦術を駆使しての邪魔者の撹乱と撃退、不可

  能であれば時間稼ぎであった。

 

 

 

 

 ○6面中ボス 念入りな念写記者

 

  姫海棠 はたて

  Himekaidou Hatate

 

  種族:鴉天狗

  能力:念写をする程度の能力

 

  彼女は新聞記者なのだが、外に出かける事は無かった…というのは過去の

  話で、現在は射命丸文の好敵手として取材に精を出したり、天夢の指示に

  より導命樹哨戒の任に就いたりしている。

 

  河童の最新技術の産物、念写が出来て面倒なフィルム巻きも必要無い彼女

  のカメラは、高性能ではあるが、幻想郷では未だ馴染みの薄い電気を動力

  とする所に大きな問題があった。

  薄くて小型な今どきの最新機器は、その分まめに充電しなければ使い物に

  ならなかったのである。

 

  そして、激しい光を放つ導命樹には、何故か電気のエネルギーが満ち満ち

  ていた。

  取材活動と充電と一石三鳥。彼女にとってこれ程の幸運は無かっただろう。

  そう、一石三鳥。ライバルである文は、少し前に守矢神社に急行する霊夢

  に轢かれているのだから。

 

 

 

 

 

 ○6面ボス 平安の大怨霊

 

  禍原 命廟

  Magahara Mitama

 

  種族:神霊(元人間)

  能力:詩を読む(死を呼ぶ)程度の能力

 

  神奈子による新たなエネルギー革命計画の為、今回外界から招かれた神様

  であり、サラカが狙う「理を無視して生きる魂」の正体であり、天夢と同

  様に悪霊化した元人間であり、飛梅の樹の主――より正確には、死後に稼

  いだ莫大な信仰により、悪霊から神霊となった人間である。

  一度は政敵に貶められて非業の死を遂げるが、凄まじい怨霊と化して落雷

  と疫病を振り撒き、それを鎮める為に神格化されたという伝説は、日本の

  歴史に明るい賢明な諸氏ならば、既に知っている所であろう。

 

  雷神とも呼ばれる彼女は、人間だった頃から既にその力を宿していた。否、

  それは神などではなく、都の民衆を脅かしていた鬼の力である。平安京に

  おいては、鬼と人との結びつきは現在よりも遙かに強い物だった。

  人間の欲はいつの時代も変わらぬもの。数百年前に豊聡耳神子が追い求め

  た道教は既に忘れられていたが、支配者達にとって、鬼の力はその代わり

  とでも言うべき物として映った。

 

  聡明な命廟はすぐに神子と同じ結論に達した。国を動かす者全てがこのよ

  うな超人的な力を持っては、天(政治)が乱れるは必定。そう、人の道を

  踏み越えた力を持つのは、本当に選ばれし者だけでなければいけない。

  彼女は頭は切れるが不器用であった。不器用であったが故に、心も鬼にせ

  ざるを得なかった。

  そして、鬼の力に手を染めた友人や師を、政界に蔓延する「鬼」を人知れ

  ず闇に消して行った。

  後世には詩聖とも呼ばれる程、漢詩や和歌にも通じていた命廟は、師の詠

  んだ歌の内容に、背後の鬼の存在をすぐさま見抜いたのである。

  正道から外れた謀略を鬼道と呼ぶ事があるが、それはこのエピソードに基

  づいているとも言われる。

  (民明書房刊 『リサイクルされた東方神霊廟釣り計画』より抜粋)

  後に無実の罪で左遷を言い渡される時、彼女は一言の弁解も許されなかっ

  たとされているが、これはそうした行為への罪悪感から、敢えて弁明せず

  汚名を被るという、彼女なりの贖罪であった。

 

  その後は我々の知る通りで、思いがけずして人々によく知られ親しまれる

  神様になったわけだが、やはり元は学者。好奇心と探求心に満ちる彼女に

  は、神奈子の話した幻想郷は非常に興味深いものとして映った。

  こうして幻想郷を訪れ、思いがけずかつて自宅にあった梅の樹――八重咲

  杏と再会を果たす。そして彼女を太宰府へ連れて帰りたいと考えた事から

  今回の異変が始まったのだ。

 

  神様と言っても能力はピンキリであるし、出来る事も皆同じではない。

  命廟は雷の力を行使する事こそ出来るが、巨木を一瞬にして空間転移させ

  るような魔法的な力は使えなかった。そこで立てた作戦が、必要なエネル

  ギーが膨大過ぎて、実用化出来ずに忘れられた「ワープ理論」である。

  自身の発する莫大な電力に加え、水力発電タービン、太陽光発電パネルと

  いった、天夢が予め部下に集めさせておいた機械部品を補助動力として樹

  に組み込み、ワープに必要な電力を生み出そうとした。それが樹の発光の

  正体だった。

 

  高く飛ぶ鳥は落とされる。分不相応な力は我が身を滅ぼす。

  結局の所、こうして花鳥風月を愛する命廟は生粋の詩人であり、支配者と

  しては優し過ぎた。

  だが、今なお全国に広がり親しまれている「天神様」信仰は、彼女のそん

  な一面に由来するのかも知れない。

 

 

 

 

 ○EX中ボス  大いなる実の護り手

 

  ミシェル・サンタンジェ

  Michel Sant'Angelo

 

  種族:大天使

  能力:啓示を下す程度の能力

 

  史上最強のうっかり天使。「サンタンジェ」とは天使個別の性ではなく、

  位の高い天使の称号のような物らしい。

  今回は堕天ルートまっしぐらのサラカ・サンタンジェを回収する為に派遣

  されて来ており、導命樹を新たな天使軍団の砦だと思っている様子。

  実はエデンの園にも生命の樹という物が存在しており、偶然にも両者の外

  見はどことなく似通っているとか。勘違いの土壌は十分にあったのである

  (大事な事なので二回言いました)

  ミシェルは本物の生命の樹でも、中心部に当たる第6層の守護者を務めて

  おり、導命樹中心部の光の舞台を、自分に相応しい場所と、ますます強固

  に信じ込んでいる。

  ただ疑問があるとすれば、哨戒に当たる妖精達がどうも自分に非協力的な

  気がする事くらいだが、単体でも十分な戦闘能力を持つ彼女にとって、そ

  れは大した問題ではなかった。

 

 

 

 

 ○EXボス  遠き音を届ける歌姫

 

  遠音 リコ

  Toone Riko

 

  種族:神霊

  能力:魔法の歌を紡ぐ程度の能力

 

  「歌」とは、すなわち言霊である。歌い手の精神を声に乗せ、聞き手の精

  神に作用させる超自然的能力である。ゆえに人類は、いかに技術の進歩を

  経ても、「歌」を感情の無い無機物に任せる事は無かった。そして、この

  遠音リコは、そんな古い常識に囚われない、歌うからくり人形である。

 

  彼女は何者なのか? 一体誰によって作られたのか? そもそも幻想の存

  在ではないのでは?

  残念な事に、その全ては今の所誰にも分からない。というか本人も分から

  ない。ただ確かな事は、この不可解な傀儡は、神霊大増殖の異変が起きた

  第126期の春頃に初めて目撃されたという事のみ――

  (それすらも天狗のネットワークによる情報である為、確かかと言われる

   と大いに怪しい物なのだが)

 

  「自分にその技術は無いが、もし歌を歌う事が出来たら?」

  「自分は男性であるが、もし女性の声で歌う事が出来たら?」

  言わずもがな、自分に無い物を求める感情は、人間にありがちな欲望であ

  り、すなわち神霊の根源である。

  異変の後、豊聡耳神子に吸収され消えたとされる小神霊達であるが、一部

  の神霊は何かしらの幸運を得て、確かに存在する者として昇華されたので

  はないだろうか? それが遠音リコなのでは?

 

  高度に文明化された外の世界において、彼女と同様の歌う機械人形がにわ

  かに流行している事や、偽物が次々作られては忘れられていく事と何か関

  係があるのか?

  いくら推理を重ねて見ても、いずれの可能性も推測止まりである。

 

  だが彼女自身は、自分が何者かは分からずとも、歌う事への純粋すぎる熱

  意と「CD化」「メディアミックス」などと言う謎の願望をしっかり人格

  (?)の中心に有している。

  もし彼女の正体が神霊の集合体なのだとしたら、非常にそれらしい、過ぎ

  たる飽くなき欲望である。